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今回は、日本の音楽シーンに数々の金字塔を打ち立てた伝説のデュオ、CHAGE and ASKA(当時はチャゲ&飛鳥)の、あまりにも鮮烈なデビュー曲「ひとり咲き」(1979年)の魅力に迫ります。
フォークソングが全盛だった時代に、「あたい」という一度聴いたら忘れられない言葉を使ったこの曲。 そこには、ただならぬ覚悟と、ASKAさん(当時は飛鳥涼)の類まれなる才能が詰まっていました。
この曲が生まれた背景や、切ない歌詞に込められた本当の意味を知れば、きっとこの曲の奥深さに改めて驚かされるはずです。
まずは公式YouTubeで聴いてみよう
何はともあれ、まずは一度聴いてみてください。イントロかっこいいですよ。
CHAGE and ASKA「ひとり咲き」より
誕生の背景:九州から上陸した「大型台風」の産声
この曲は、1979年8月25日にリリースされた、彼らの記念すべきデビューシングルです。
きっかけは、当時アマチュアの登竜門として絶大な人気を誇った「ヤマハポピュラーソングコンテスト(ポプコン)」でした。彼らは前年に「流恋情歌」で入賞しており、ASKAさんはこの「ひとり咲き」を、さらにその上、つまり「世界歌謡祭」への出場を強く意識して作った、まさに「勝負曲」だったのです。
結果、この曲も見事ポプコンで入賞を果たし、ヤマハの関係者の目に留まります。 当時の彼らのキャッチコピーは、「九州から大型台風上陸! 熱い喉が衝き叫ぶ!」という、なんとも挑戦的なものでした。
そのキャッチコピーにふさわしく、この曲は当時のフォークソングシーンに衝撃を与えます。 叙情的な「僕」や「私」ではなく、あえて歌謡曲や演歌を思わせる「あたい」という一人称を使ったことで、良くも悪くも強烈なインパクトを残しました。この言葉選びこそが、彼らの「ただのフォークデュオじゃない」という宣戦布告でもあったのです。
歌詞の世界へ:「あたい」の潔さと、恋の切ない真実
この曲は、一人の女性が「恋の終わり」を悟り、それを受け入れようとする、切なくも気丈な姿を描いています。
とぎれとぎれの話はやめてよ あんたの心にしがみついたままの 終わりじゃしょうがない
出典:チャゲ&飛鳥(現:CHAGE and ASKA)「ひとり咲き」(作詞.作詞:飛鳥涼(現:ASKA) )
冒頭から、主人公の「あたい」の性格がはっきりと出ています。 彼氏(あんた)が、別れ話をはっきり切り出せないでいる。そんな煮え切らない態度に対して、「中途半端なまま終わらせないでよ!」と、あえて自分から幕引きを促すような強さを見せています。
あたいは恋花 散ればいいのよ あたいはあんたに夢中だった 心からあんたにほれていた
出典:チャゲ&飛鳥(現:CHAGE and ASKA)「ひとり咲き」(作詞.作詞:飛鳥涼(現:ASKA) )
彼女は自分の恋を「恋花(こいばな)」に例えます。 「花はいつか散るものだから、この恋も散ればいい」と、まるで自分に言い聞かせるかのように潔く振る舞います。 でも、「夢中だった」「ほれていた」という過去形の言葉が、その恋がどれほど本気だったかを物語っており、強がりとの裏腹な切なさが胸に迫ります。
疲れたまんまで 二人で心あわせたけれど 大きな夢を咲かせすぎた
出典:チャゲ&飛鳥(現:CHAGE and ASKA)「ひとり咲き」(作詞.作詞:飛鳥涼(現:ASKA) )
一緒にいることにどこか疲れを感じながらも、無理やり心を合わせようとしていた二人。 でも、お互いに未来への期待や理想、「大きな夢」を膨らませすぎた結果、現実が追いつかなくなってしまった…。そんな、恋が冷めていく過程のやるせなさが描かれます。
燃えて散るのが花 夢で咲くのが恋 ひとり咲き
出典:チャゲ&飛鳥(現:CHAGE and ASKA)「ひとり咲き」(作詞.作詞:飛鳥涼(現:ASKA) )
そして、この曲の核心となるフレーズです。 情熱的に燃え上がって、やがて潔く散っていくのが「花」。 でも「恋」というものは、相手の気持ちがどうであれ、結局は自分一人の心の中で、夢のように勝手に咲かせてしまうものなんだ——。
たとえ相手の気持ちがもう無くても、自分だけがまだ想っている。 このどうしようもない一方通行の感情こそが「ひとり咲き」なのだという、恋の切ない真実を突きつけられます。
あたい恋花 実は結べないわ あたい恋花 枯れてもまた咲くだけ
出典:チャゲ&飛鳥(現:CHAGE and ASKA)「ひとり咲き」(作詞.作詞:飛鳥涼(現:ASKA) )
この恋は、結ばれる(実を結ぶ)運命じゃなかったんだ、という諦め。 でも、彼女はここで終わりません。 「枯れてもまた咲くだけ」——。
歌手の坂本冬美さんは、この「あたい」という言葉について、「傷ついても、また同じように恋をして、それを繰り返している『あたい』なんだと思う」と語っています。 たとえこの恋が枯れてしまっても、また次の恋の花を咲かせてしまう。それが「あたい」という女性の強さであり、どうしようもない性(さが)なのかもしれません。
まとめ
「ひとり咲き」は、CHAGE and ASKAがデビューにして放った、失恋の痛みと、それを受け入れる女性の強がりと弱さ、そして恋というものの本質を見事に描き切った「歌謡フォーク」の傑作です。
「あたい」という言葉に込められた深い人間臭さ。 だからこそ、この曲は時代を超えて、今も私たちの心を掴んで離さないのでしょうね。

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