第16回  ひとり咲き / CHAGE and ASKA

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ryou

はじめまして! このブログでは、音楽に詳しいわけではない、むしろ疎い部類である私、りょうが、世の中の有名な曲について「これってどういう歌なんだろう?」と調べたことを、のんびり雑談みたいに語っていきます。
このブログを書いていると、曲の魅力について「あれもこれも語りたい!」という気持ちでいっぱいになります。ですが、いつもぐっとこらえています。

なぜなら、この物語の主役は、素晴らしい作品と、それを聴く皆さん一人ひとりだからです。

私の解説が、皆さんが音楽から自由に何かを感じ取る楽しみの邪魔をしてはいけない。そんな想いから、あえて多くを語らず、皆さんの心の中に生まれる感想のための「余白」を大切にしています。

ぜひ、あなただけの感じ方で、音楽の世界を楽しんでみてください。

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こんにちは!

今回は、日本の音楽シーンに数々の金字塔を打ち立てた伝説のデュオ、CHAGE and ASKA(当時はチャゲ&飛鳥)の、あまりにも鮮烈なデビュー曲「ひとり咲き」(1979年)の魅力に迫ります。

フォークソングが全盛だった時代に、「あたい」という一度聴いたら忘れられない言葉を使ったこの曲。 そこには、ただならぬ覚悟と、ASKAさん(当時は飛鳥涼)の類まれなる才能が詰まっていました。

この曲が生まれた背景や、切ない歌詞に込められた本当の意味を知れば、きっとこの曲の奥深さに改めて驚かされるはずです。

まずは公式YouTubeで聴いてみよう

何はともあれ、まずは一度聴いてみてください。イントロかっこいいですよ。

CHAGE and ASKA「ひとり咲き」より

誕生の背景:九州から上陸した「大型台風」の産声

この曲は、1979年8月25日にリリースされた、彼らの記念すべきデビューシングルです。

きっかけは、当時アマチュアの登竜門として絶大な人気を誇った「ヤマハポピュラーソングコンテスト(ポプコン)」でした。彼らは前年に「流恋情歌」で入賞しており、ASKAさんはこの「ひとり咲き」を、さらにその上、つまり「世界歌謡祭」への出場を強く意識して作った、まさに「勝負曲」だったのです。

結果、この曲も見事ポプコンで入賞を果たし、ヤマハの関係者の目に留まります。 当時の彼らのキャッチコピーは、「九州から大型台風上陸! 熱い喉が衝き叫ぶ!」という、なんとも挑戦的なものでした。

そのキャッチコピーにふさわしく、この曲は当時のフォークソングシーンに衝撃を与えます。 叙情的な「僕」や「私」ではなく、あえて歌謡曲や演歌を思わせる「あたい」という一人称を使ったことで、良くも悪くも強烈なインパクトを残しました。この言葉選びこそが、彼らの「ただのフォークデュオじゃない」という宣戦布告でもあったのです。

歌詞の世界へ:「あたい」の潔さと、恋の切ない真実

この曲は、一人の女性が「恋の終わり」を悟り、それを受け入れようとする、切なくも気丈な姿を描いています。

とぎれとぎれの話はやめてよ あんたの心にしがみついたままの 終わりじゃしょうがない

出典:チャゲ&飛鳥(現:CHAGE and ASKA)「ひとり咲き」(作詞.作詞:飛鳥涼(現:ASKA) )

冒頭から、主人公の「あたい」の性格がはっきりと出ています。 彼氏(あんた)が、別れ話をはっきり切り出せないでいる。そんな煮え切らない態度に対して、「中途半端なまま終わらせないでよ!」と、あえて自分から幕引きを促すような強さを見せています。

あたいは恋花 散ればいいのよ あたいはあんたに夢中だった 心からあんたにほれていた

出典:チャゲ&飛鳥(現:CHAGE and ASKA)「ひとり咲き」(作詞.作詞:飛鳥涼(現:ASKA) )

彼女は自分の恋を「恋花(こいばな)」に例えます。 「花はいつか散るものだから、この恋も散ればいい」と、まるで自分に言い聞かせるかのように潔く振る舞います。 でも、「夢中だった」「ほれていた」という過去形の言葉が、その恋がどれほど本気だったかを物語っており、強がりとの裏腹な切なさが胸に迫ります。

疲れたまんまで 二人で心あわせたけれど 大きな夢を咲かせすぎた

出典:チャゲ&飛鳥(現:CHAGE and ASKA)「ひとり咲き」(作詞.作詞:飛鳥涼(現:ASKA) )

一緒にいることにどこか疲れを感じながらも、無理やり心を合わせようとしていた二人。 でも、お互いに未来への期待や理想、「大きな夢」を膨らませすぎた結果、現実が追いつかなくなってしまった…。そんな、恋が冷めていく過程のやるせなさが描かれます。

燃えて散るのが花 夢で咲くのが恋 ひとり咲き

出典:チャゲ&飛鳥(現:CHAGE and ASKA)「ひとり咲き」(作詞.作詞:飛鳥涼(現:ASKA) )

そして、この曲の核心となるフレーズです。 情熱的に燃え上がって、やがて潔く散っていくのが「花」。 でも「恋」というものは、相手の気持ちがどうであれ、結局は自分一人の心の中で、夢のように勝手に咲かせてしまうものなんだ——。

たとえ相手の気持ちがもう無くても、自分だけがまだ想っている。 このどうしようもない一方通行の感情こそが「ひとり咲き」なのだという、恋の切ない真実を突きつけられます。

あたい恋花 実は結べないわ あたい恋花 枯れてもまた咲くだけ

出典:チャゲ&飛鳥(現:CHAGE and ASKA)「ひとり咲き」(作詞.作詞:飛鳥涼(現:ASKA) )

この恋は、結ばれる(実を結ぶ)運命じゃなかったんだ、という諦め。 でも、彼女はここで終わりません。 「枯れてもまた咲くだけ」——。

歌手の坂本冬美さんは、この「あたい」という言葉について、「傷ついても、また同じように恋をして、それを繰り返している『あたい』なんだと思う」と語っています。 たとえこの恋が枯れてしまっても、また次の恋の花を咲かせてしまう。それが「あたい」という女性の強さであり、どうしようもない性(さが)なのかもしれません。

まとめ

「ひとり咲き」は、CHAGE and ASKAがデビューにして放った、失恋の痛みと、それを受け入れる女性の強がりと弱さ、そして恋というものの本質を見事に描き切った「歌謡フォーク」の傑作です。

「あたい」という言葉に込められた深い人間臭さ。 だからこそ、この曲は時代を超えて、今も私たちの心を掴んで離さないのでしょうね。

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