こんにちは! 今日は、リリースから年月が経っても色褪せない名曲、平井堅さんの『瞳をとじて』についてお話ししたいと思います。
2004年に公開され、日本中で「セカチュー(世界の中心で、愛をさけぶ)」ブームを巻き起こした映画の主題歌としても有名ですよね。
なぜこの曲は、これほどまでに私たちの心に深く刺さるのでしょうか? その背景や歌詞に込められた想いを、一緒に見ていきましょう。
まずは公式YouTubeで聴いてみよう
何はともあれ、まずは一度聴いてみてください。
平井 堅 『瞳をとじて』MUSIC VIDEOより
🎬 誕生のきっかけは「原作への感動」
この曲は、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』の主題歌として書き下ろされました。
制作当時、平井堅さんは映画の脚本や原作を読み込み、「大切な人を失った喪失感」と真正面から向き合ったそうです。
映画の主人公(サク)が、最愛の恋人(アキ)を亡くした後、どうやって生きていくのか。 その「残された側」の気持ちに深く寄り添うことで、このメロディと歌詞が生まれました。
実はこの曲、映画の監督から「映画のラストシーンで流れるときに、救いのある曲にしてほしい」というオーダーがあったと言われています。ただ悲しいだけではなく、その先にある光を描こうとしたんですね。
💭 歌詞に込められた「究極の選択」
この曲の歌詞には、ある「切実な願い」が隠されています。
普通、失恋や別れの歌では「早く忘れて楽になりたい」「時間が解決してくれる」と歌われることが多いですよね。 でも、『瞳をとじて』は違うんです。
「君を忘れて楽になるくらいなら、痛みを抱えたまま眠るほうがいい」
歌詞の中にあるこの感情こそが、この曲の最大のメッセージです。 「痛み」=「君がいた証拠」。 だから、痛みが消えることは、君との思い出が消えることと同じ……。
そんな、「忘れたくない」という強い想いが、優しい歌声の裏側に秘められているんです。
泣けちゃいます。
📖 歌詞の世界を少しだけ覗いてみましょう
歌詞の情景を、少しわかりやすい言葉で追ってみますね。
朝目覚める度に 君の抜け殻が横にいる ぬくもりを感じた いつもの背中が冷たい
出典:平井堅「瞳をとじて」(作詞.作曲:平井堅)
朝、目が覚めるたびに、そこに愛しい人がいないという現実の痛み。昨日の幸せな記憶と、今日の冷たい現実とのギャップが、とてもリアルで胸に突き刺さるような切なさを表しています。
消し去ろうと願う度に 心が体が君を覚えている
出典:平井堅「瞳をとじて」(作詞.作曲:平井堅)
頭では「前に進まなきゃ、忘れる努力をしなきゃ」と思っても、やっぱり心のほうは亡くした人との愛を刻み込んでいる。「忘れようとしても忘れられない」という、愛の強さを表現しています。
瞳をとじて 君を描くよ それだけでいい
出典:平井堅「瞳をとじて」(作詞.作曲:平井堅)
これがこの曲の核となるメッセージ。もう会えないけれど、目を閉じれば鮮明にその人が蘇る。物理的な存在がなくても、心の中の記憶こそが永遠の居場所だということ。「それだけでいい」という言葉には、他の何物も必要としない、純粋で絶対的な愛が詰まっています。瞼の裏になら、元気な君がいるから。 現実逃避のようにも見えますが、これは彼にとって、君と生き続けるための唯一の方法なんですね。
いつかは君のこと なにも感じなくなるのかな 今の痛み抱いて 眠る方がまだいいかな
出典:平井堅「瞳をとじて」(作詞.作曲:平井堅)
普通、つらいことがあれば「早く忘れたい」「楽になりたい」と願いますよね。でも、彼にとって、「痛みが消えること」は「君がいなくなったことを完全に認めること」であり、君との繋がりが消えてしまうことと同じなんです。
「君を忘れて楽になるくらいなら、今の苦しい痛みを抱えたままでいい」 そう思えるほど、相手を深く愛していた。この「痛み」こそが、今ある唯一の「君との繋がり」なんですね。
なくしたものを越える強さを 君がくれたから
出典:平井堅「瞳をとじて」(作詞.作曲:平井堅)
最後のこのフレーズが、本当に素晴らしいです。「君を失った」という事実は変わりません。でも、彼は「君がいなくなって弱くなった」のではなく、「君と出会い、愛し、そして失った経験すべてが、僕を強くしてくれた」と気づくのです。
悲しみを乗り越えて「さよなら」するのではなく、悲しみも含めて「君のすべてを背負って生きていく」という決意みたいなもの。
それが、この歌詞が言う「強さ」の正体ではないでしょうか。
【まとめ】痛みと共に生きる、という強さ
『瞳をとじて』が、単なる失恋ソングや悲しいだけの別れの歌ではないことが、歌詞を紐解くことで見えてきましたね。
「忘れることで楽になる」のではなく、「痛みを抱えたまま、記憶の中の君と共に生きていく」。 そんな、切なくも強い覚悟が込められているからこそ、この曲は時代を超えて私たちの心を震わせるのだと思います。
もし今、何かの悲しみの中にいる人がいたら、無理に忘れようとしなくていいのかもしれません。その痛みは、あなたが誰かを深く愛した証拠なのですから。
久しぶりにこの曲を聴くときは、ぜひ「瞳をとじて」、心の中にいる大切な人を描いてみてください。きっと今までとは違う、温かい涙が流れるはずです。

コメント