第59回 瞳をとじて / 平井堅

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ryou

はじめまして! このブログでは、音楽に詳しいわけではない、むしろ疎い部類である私、りょうが、世の中の有名な曲について「これってどういう歌なんだろう?」と調べたことを、のんびり雑談みたいに語っていきます。
このブログを書いていると、曲の魅力について「あれもこれも語りたい!」という気持ちでいっぱいになります。ですが、いつもぐっとこらえています。

なぜなら、この物語の主役は、素晴らしい作品と、それを聴く皆さん一人ひとりだからです。

私の解説が、皆さんが音楽から自由に何かを感じ取る楽しみの邪魔をしてはいけない。そんな想いから、あえて多くを語らず、皆さんの心の中に生まれる感想のための「余白」を大切にしています。

ぜひ、あなただけの感じ方で、音楽の世界を楽しんでみてください。

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こんにちは! 今日は、リリースから年月が経っても色褪せない名曲、平井堅さんの『瞳をとじて』についてお話ししたいと思います。

2004年に公開され、日本中で「セカチュー(世界の中心で、愛をさけぶ)」ブームを巻き起こした映画の主題歌としても有名ですよね。

なぜこの曲は、これほどまでに私たちの心に深く刺さるのでしょうか? その背景や歌詞に込められた想いを、一緒に見ていきましょう。

まずは公式YouTubeで聴いてみよう

何はともあれ、まずは一度聴いてみてください。

平井 堅 『瞳をとじて』MUSIC VIDEOより

🎬 誕生のきっかけは「原作への感動」

この曲は、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』の主題歌として書き下ろされました。

制作当時、平井堅さんは映画の脚本や原作を読み込み、「大切な人を失った喪失感」と真正面から向き合ったそうです。

映画の主人公(サク)が、最愛の恋人(アキ)を亡くした後、どうやって生きていくのか。 その「残された側」の気持ちに深く寄り添うことで、このメロディと歌詞が生まれました。

実はこの曲、映画の監督から「映画のラストシーンで流れるときに、救いのある曲にしてほしい」というオーダーがあったと言われています。ただ悲しいだけではなく、その先にある光を描こうとしたんですね。

💭 歌詞に込められた「究極の選択」

この曲の歌詞には、ある「切実な願い」が隠されています。

普通、失恋や別れの歌では「早く忘れて楽になりたい」「時間が解決してくれる」と歌われることが多いですよね。 でも、『瞳をとじて』は違うんです。

「君を忘れて楽になるくらいなら、痛みを抱えたまま眠るほうがいい」

歌詞の中にあるこの感情こそが、この曲の最大のメッセージです。 「痛み」=「君がいた証拠」。 だから、痛みが消えることは、君との思い出が消えることと同じ……。

そんな、「忘れたくない」という強い想いが、優しい歌声の裏側に秘められているんです。

泣けちゃいます。

📖 歌詞の世界を少しだけ覗いてみましょう

歌詞の情景を、少しわかりやすい言葉で追ってみますね。

朝目覚める度に 君の抜け殻が横にいる  ぬくもりを感じた  いつもの背中が冷たい

出典:平井堅「瞳をとじて」(作詞.作曲:平井堅)

朝、目が覚めるたびに、そこに愛しい人がいないという現実の痛み。昨日の幸せな記憶と、今日の冷たい現実とのギャップが、とてもリアルで胸に突き刺さるような切なさを表しています。

消し去ろうと願う度に 心が体が君を覚えている

出典:平井堅「瞳をとじて」(作詞.作曲:平井堅)

頭では「前に進まなきゃ、忘れる努力をしなきゃ」と思っても、やっぱり心のほうは亡くした人との愛を刻み込んでいる。「忘れようとしても忘れられない」という、愛の強さを表現しています。

瞳をとじて 君を描くよ それだけでいい

出典:平井堅「瞳をとじて」(作詞.作曲:平井堅)

これがこの曲の核となるメッセージ。もう会えないけれど、目を閉じれば鮮明にその人が蘇る。物理的な存在がなくても、心の中の記憶こそが永遠の居場所だということ。「それだけでいい」という言葉には、他の何物も必要としない、純粋で絶対的な愛が詰まっています。瞼の裏になら、元気な君がいるから。 現実逃避のようにも見えますが、これは彼にとって、君と生き続けるための唯一の方法なんですね。

いつかは君のこと なにも感じなくなるのかな 今の痛み抱いて 眠る方がまだいいかな 

出典:平井堅「瞳をとじて」(作詞.作曲:平井堅)

普通、つらいことがあれば「早く忘れたい」「楽になりたい」と願いますよね。でも、彼にとって、「痛みが消えること」は「君がいなくなったことを完全に認めること」であり、君との繋がりが消えてしまうことと同じなんです。

「君を忘れて楽になるくらいなら、今の苦しい痛みを抱えたままでいい」 そう思えるほど、相手を深く愛していた。この「痛み」こそが、今ある唯一の「君との繋がり」なんですね。

なくしたものを越える強さを 君がくれたから

出典:平井堅「瞳をとじて」(作詞.作曲:平井堅)

最後のこのフレーズが、本当に素晴らしいです。「君を失った」という事実は変わりません。でも、彼は「君がいなくなって弱くなった」のではなく、「君と出会い、愛し、そして失った経験すべてが、僕を強くしてくれた」と気づくのです。

悲しみを乗り越えて「さよなら」するのではなく、悲しみも含めて「君のすべてを背負って生きていく」という決意みたいなもの。

それが、この歌詞が言う「強さ」の正体ではないでしょうか。


【まとめ】痛みと共に生きる、という強さ

『瞳をとじて』が、単なる失恋ソングや悲しいだけの別れの歌ではないことが、歌詞を紐解くことで見えてきましたね。

「忘れることで楽になる」のではなく、「痛みを抱えたまま、記憶の中の君と共に生きていく」。 そんな、切なくも強い覚悟が込められているからこそ、この曲は時代を超えて私たちの心を震わせるのだと思います。

もし今、何かの悲しみの中にいる人がいたら、無理に忘れようとしなくていいのかもしれません。その痛みは、あなたが誰かを深く愛した証拠なのですから。

久しぶりにこの曲を聴くときは、ぜひ「瞳をとじて」、心の中にいる大切な人を描いてみてください。きっと今までとは違う、温かい涙が流れるはずです。

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