こんにちは! 今日は、誰もが一度は聴いたことのある名曲、槇原敬之さんの『どんなときも。』についてお話しします。
1991年に大ヒットしたこの曲。 「元気が出る曲」として愛され続けていますが、実はこの曲が生まれた裏側には、ギリギリの焦りや、自分らしく生きたいという強い叫びが隠されているんです。
歌詞と一緒に、その奥深い世界を覗いてみましょう。
まずは公式YouTubeで聴いてみよう
何はともあれ、まずは一度聴いてみてください。
【公式】槇原敬之「どんなときも。」(MV)より
槇原敬之「どんなときも。」誕生の裏にあった、挫折と奇跡のストーリー
実はこの曲が生まれるまでには、まるでドラマのような「挫折」と「大逆転」の物語があったんです。
ただの「良い曲」というだけでなく、マッキーが追い詰められた末に掴んだ「奇跡の瞬間」について、もっと詳しくお話ししますね。
1. 実は「ボツ」から始まった? 幻の名曲『ORION』
実はこの曲、槇原さんがデビューして間もない頃、映画『就職戦線異状なし』の主題歌として依頼されたものでした。
当時のマッキーはまだ21歳くらい。「就職活動をする若者たちへの応援歌を作ってほしい」と頼まれたものの、実はマッキー、最初に全く別の曲を提出していたんです。
それは『ORION(オリオン)』という曲。 冬の星座を歌った、とても美しいバラードでした。マッキー自身も「これは自信作だ!」と思って渡したそうです。
ところが、映画のプロデューサーさんからの返事は「NO」。 「曲はすごく良い。でも、これから就職という戦場に向かう若者たちの映画だから、もっと元気で、背中を押すようなアップテンポな曲じゃないとダメなんだ」と返されてしまったのです。
自信作を否定されたマッキーは相当なショックを受け、「もう書けないよ…」と落ち込んでしまったそうです。(ちなみに、この『ORION』は後にカップリング曲として世に出ています。これも名曲です!)
2. 「もうどうにでもなれ!」が生んだ奇跡のイントロ
締め切りは刻一刻と迫ります。でも、書こうとすればするほど、プレッシャーで何も浮かんでこない。 とうとう締め切りの前日か当日か、というギリギリのタイミングになってしまいました。
追い詰められたマッキーは、部屋でふてくされながら、こう思ったそうです。 「もういいや! アップテンポなら何でもいいんでしょ!?」
そうやって半ばヤケクソ気味に、キーボードをポンポン!と叩いたとき、あの軽快なイントロのリズムが生まれました。 「あれ? これ、いいかも?」 そこからはまるで何かが降りてきたかのように、曲(メロディ)と詞(言葉)が同時に、スルスルと出てきたと言われています。
頭でこねくり回して考えたものではなく、開き直って心が自由になった瞬間に、あの名曲は生まれたんですね。
3. 「就活生」と「自分」を重ね合わせた歌詞
映画のテーマは「就職活動」。みんな同じリクルートスーツを着て、マニュアル通りの答えを言って、企業に自分を売り込む……。 当時のマッキーはまだデビューしたての新人。就職活動の経験はありませんでした。
「就活の歌なんて書けないよ」と悩んだ彼が思いついたのは、「音楽業界にいる自分」と「就活生」を重ね合わせることでした。
- 就活生:個性を消して、会社に好かれる自分を演じなきゃいけない。
- 新人歌手のマッキー:売れるために、流行りの曲を作らなきゃいけない。
この二つの状況は似ている、と気づいたんです。
だから、歌詞にある
「好きなモノは好き」と言える気持ち 抱きしめてたい
出典:槇原敬之【どんなときも。】 作詞・作曲:槇原敬之
というフレーズは、就活生への応援であると同時に、「僕は流行りに流されず、自分の好きな音楽をやっていくんだ!」という、槇原敬之自身の音楽業界に対する「宣戦布告」や「決意表明」でもあったのです。
誰かのために書いた曲ではなく、自分自身の魂の叫びだったからこそ、これほど強く人の心を打つのかもしれません。
4. スタッフが驚いたカセットテープ
完成したデモテープ(録音したカセット)を、マッキーは急いでスタッフの元へ届けました。 それを聴いたスタッフたちは、一聴して「これはとんでもない名曲ができた……!」と震えたそうです。
バラードの『ORION』がボツにならなければ、そしてマッキーがギリギリまで追い詰められて「開き直る」ことがなければ、『どんなときも。』はこの世に生まれていなかったかもしれません。
歌詞に込められた「本当の意味」
では、歌詞を少し読み解いてみましょう。 この曲の素晴らしいところは、単に「がんばれ!」と言うのではなく、「迷ってもいいんだよ」と肯定してくれるところです。
“僕の背中は自分が 思うより正直かい” “誰かに聞かなきゃ 不安になってしまうよ”
出典:槇原敬之【どんなときも。】 作詞・作曲:槇原敬之
冒頭の歌詞です。 周りの目が気になって、自分に自信が持てない。「僕、これで合ってるかな?」と誰かに聞きたくなってしまう……。そんな弱さを隠さずに歌っています。
そして、この部分。
“あの泥だらけのスニーカーじゃ 追い越せないのは” “電車でも時間でもなく 僕かもしれないけど”
出典:槇原敬之【どんなときも。】 作詞・作曲:槇原敬之
大人になるにつれて、昔の純粋だった自分(泥だらけのスニーカー)が変わってしまう。 「過去の自分に負けたくない」「変わりたくない自分」との葛藤が描かれています。
4. 最大のメッセージ:「好きなモノは好き」
そして、誰もが口ずさめるあのサビです。
どんなときも どんなときも 僕が僕らしくあるために 「好きなモノは好き」と 言える気持ち 抱きしめてたい
出典:槇原敬之【どんなときも。】 作詞・作曲:槇原敬之
就職活動や社会生活の中では、どうしても「本音」を隠して、周りに合わせなければいけない場面がありますよね。 でも、マッキーはここで「自分の『好き』という気持ちだけは、絶対に嘘をついちゃいけない」と歌っています。
これは、槇原さん自身の生き方や、彼が抱えていた葛藤に対する「自分への誓い」でもあったと言われています。 「世間がどうであれ、僕は僕のままでいいんだ」という強いメッセージだからこそ、時代を超えて私たちの心に響くんですね。
“迷い探し続ける日々が” “答えになること 僕は知ってるから”
出典:槇原敬之【どんなときも。】 作詞・作曲:槇原敬之
ここの歌詞は、まさに曲作りで悩み苦しんだマッキー自身が、その苦しみの果てに見つけた「答え」そのものじゃないでしょうか?
「うまくいかない時や、否定された時こそ、一番正直な『自分らしさ』が出てくる」
この曲が教えてくれるのは、「迷うこと」は悪いことじゃない。 迷ってあがいた日々そのものが、いつか自分の答えになる。 そう言われると、なんだか肩の荷が下りるような気がしませんか?
まとめ:自分を守るための強さ
“そしていつか 誰かを愛し” “その人を守れる強さを” “自分の力に変えて行けるように”
出典:槇原敬之【どんなときも。】 作詞・作曲:槇原敬之
最後は、「自分を大事にできた先に、他者への愛が生まれる」と結ばれています。
『どんなときも。』は、他人への応援歌である以前に、「自分自身を信じるための応援歌」なんです。
辛いとき、鏡の前で無理にでも笑ってみる。 好きなものは好きだと胸を張る。
もし今、何かに迷っているなら、ぜひこの曲を聴き直してみてください。 きっと、「今のままのあなたで大丈夫だよ」と、マッキーが背中を押してくれるはずです。

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