第58回 どんなときも。/ 槇原敬之

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ryou

はじめまして! このブログでは、音楽に詳しいわけではない、むしろ疎い部類である私、りょうが、世の中の有名な曲について「これってどういう歌なんだろう?」と調べたことを、のんびり雑談みたいに語っていきます。
このブログを書いていると、曲の魅力について「あれもこれも語りたい!」という気持ちでいっぱいになります。ですが、いつもぐっとこらえています。

なぜなら、この物語の主役は、素晴らしい作品と、それを聴く皆さん一人ひとりだからです。

私の解説が、皆さんが音楽から自由に何かを感じ取る楽しみの邪魔をしてはいけない。そんな想いから、あえて多くを語らず、皆さんの心の中に生まれる感想のための「余白」を大切にしています。

ぜひ、あなただけの感じ方で、音楽の世界を楽しんでみてください。

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こんにちは! 今日は、誰もが一度は聴いたことのある名曲、槇原敬之さんの『どんなときも。』についてお話しします。

1991年に大ヒットしたこの曲。 「元気が出る曲」として愛され続けていますが、実はこの曲が生まれた裏側には、ギリギリの焦りや、自分らしく生きたいという強い叫びが隠されているんです。

歌詞と一緒に、その奥深い世界を覗いてみましょう。

まずは公式YouTubeで聴いてみよう

何はともあれ、まずは一度聴いてみてください。

【公式】槇原敬之「どんなときも。」(MV)より


槇原敬之「どんなときも。」誕生の裏にあった、挫折と奇跡のストーリー

実はこの曲が生まれるまでには、まるでドラマのような「挫折」と「大逆転」の物語があったんです。

ただの「良い曲」というだけでなく、マッキーが追い詰められた末に掴んだ「奇跡の瞬間」について、もっと詳しくお話ししますね。

1. 実は「ボツ」から始まった? 幻の名曲『ORION』

実はこの曲、槇原さんがデビューして間もない頃、映画『就職戦線異状なし』の主題歌として依頼されたものでした。

当時のマッキーはまだ21歳くらい。「就職活動をする若者たちへの応援歌を作ってほしい」と頼まれたものの、実はマッキー、最初に全く別の曲を提出していたんです。

それは『ORION(オリオン)』という曲。 冬の星座を歌った、とても美しいバラードでした。マッキー自身も「これは自信作だ!」と思って渡したそうです。

ところが、映画のプロデューサーさんからの返事は「NO」。 「曲はすごく良い。でも、これから就職という戦場に向かう若者たちの映画だから、もっと元気で、背中を押すようなアップテンポな曲じゃないとダメなんだ」と返されてしまったのです。

自信作を否定されたマッキーは相当なショックを受け、「もう書けないよ…」と落ち込んでしまったそうです。(ちなみに、この『ORION』は後にカップリング曲として世に出ています。これも名曲です!)

2. 「もうどうにでもなれ!」が生んだ奇跡のイントロ

締め切りは刻一刻と迫ります。でも、書こうとすればするほど、プレッシャーで何も浮かんでこない。 とうとう締め切りの前日か当日か、というギリギリのタイミングになってしまいました。

追い詰められたマッキーは、部屋でふてくされながら、こう思ったそうです。 「もういいや! アップテンポなら何でもいいんでしょ!?」

そうやって半ばヤケクソ気味に、キーボードをポンポン!と叩いたとき、あの軽快なイントロのリズムが生まれました。 「あれ? これ、いいかも?」 そこからはまるで何かが降りてきたかのように、曲(メロディ)と詞(言葉)が同時に、スルスルと出てきたと言われています。

頭でこねくり回して考えたものではなく、開き直って心が自由になった瞬間に、あの名曲は生まれたんですね。

3. 「就活生」と「自分」を重ね合わせた歌詞

映画のテーマは「就職活動」。みんな同じリクルートスーツを着て、マニュアル通りの答えを言って、企業に自分を売り込む……。 当時のマッキーはまだデビューしたての新人。就職活動の経験はありませんでした。

「就活の歌なんて書けないよ」と悩んだ彼が思いついたのは、「音楽業界にいる自分」と「就活生」を重ね合わせることでした。

  • 就活生:個性を消して、会社に好かれる自分を演じなきゃいけない。
  • 新人歌手のマッキー:売れるために、流行りの曲を作らなきゃいけない。

この二つの状況は似ている、と気づいたんです。

だから、歌詞にある

「好きなモノは好き」と言える気持ち 抱きしめてたい

出典:槇原敬之【どんなときも。】  作詞・作曲:槇原敬之

というフレーズは、就活生への応援であると同時に、「僕は流行りに流されず、自分の好きな音楽をやっていくんだ!」という、槇原敬之自身の音楽業界に対する「宣戦布告」や「決意表明」でもあったのです。

誰かのために書いた曲ではなく、自分自身の魂の叫びだったからこそ、これほど強く人の心を打つのかもしれません。

4. スタッフが驚いたカセットテープ

完成したデモテープ(録音したカセット)を、マッキーは急いでスタッフの元へ届けました。 それを聴いたスタッフたちは、一聴して「これはとんでもない名曲ができた……!」と震えたそうです。

バラードの『ORION』がボツにならなければ、そしてマッキーがギリギリまで追い詰められて「開き直る」ことがなければ、『どんなときも。』はこの世に生まれていなかったかもしれません。

歌詞に込められた「本当の意味」

では、歌詞を少し読み解いてみましょう。 この曲の素晴らしいところは、単に「がんばれ!」と言うのではなく、「迷ってもいいんだよ」と肯定してくれるところです。

“僕の背中は自分が 思うより正直かい” “誰かに聞かなきゃ 不安になってしまうよ”

出典:槇原敬之【どんなときも。】  作詞・作曲:槇原敬之

冒頭の歌詞です。 周りの目が気になって、自分に自信が持てない。「僕、これで合ってるかな?」と誰かに聞きたくなってしまう……。そんな弱さを隠さずに歌っています。

そして、この部分。

“あの泥だらけのスニーカーじゃ 追い越せないのは” “電車でも時間でもなく 僕かもしれないけど”

出典:槇原敬之【どんなときも。】  作詞・作曲:槇原敬之

大人になるにつれて、昔の純粋だった自分(泥だらけのスニーカー)が変わってしまう。 「過去の自分に負けたくない」「変わりたくない自分」との葛藤が描かれています。

4. 最大のメッセージ:「好きなモノは好き」

そして、誰もが口ずさめるあのサビです。

どんなときも どんなときも 僕が僕らしくあるために 「好きなモノは好き」と 言える気持ち 抱きしめてたい

出典:槇原敬之【どんなときも。】  作詞・作曲:槇原敬之

就職活動や社会生活の中では、どうしても「本音」を隠して、周りに合わせなければいけない場面がありますよね。 でも、マッキーはここで「自分の『好き』という気持ちだけは、絶対に嘘をついちゃいけない」と歌っています。

これは、槇原さん自身の生き方や、彼が抱えていた葛藤に対する「自分への誓い」でもあったと言われています。 「世間がどうであれ、僕は僕のままでいいんだ」という強いメッセージだからこそ、時代を超えて私たちの心に響くんですね。

“迷い探し続ける日々が” “答えになること 僕は知ってるから”

出典:槇原敬之【どんなときも。】  作詞・作曲:槇原敬之

ここの歌詞は、まさに曲作りで悩み苦しんだマッキー自身が、その苦しみの果てに見つけた「答え」そのものじゃないでしょうか?

「うまくいかない時や、否定された時こそ、一番正直な『自分らしさ』が出てくる」

この曲が教えてくれるのは、「迷うこと」は悪いことじゃない。 迷ってあがいた日々そのものが、いつか自分の答えになる。 そう言われると、なんだか肩の荷が下りるような気がしませんか?


まとめ:自分を守るための強さ

“そしていつか 誰かを愛し” “その人を守れる強さを” “自分の力に変えて行けるように”

出典:槇原敬之【どんなときも。】  作詞・作曲:槇原敬之

最後は、「自分を大事にできた先に、他者への愛が生まれる」と結ばれています。

『どんなときも。』は、他人への応援歌である以前に、「自分自身を信じるための応援歌」なんです。

辛いとき、鏡の前で無理にでも笑ってみる。 好きなものは好きだと胸を張る。

もし今、何かに迷っているなら、ぜひこの曲を聴き直してみてください。 きっと、「今のままのあなたで大丈夫だよ」と、マッキーが背中を押してくれるはずです。

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