第21回 サクラ知れず / おがさわらあい

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ryou

はじめまして! このブログでは、音楽に詳しいわけではない、むしろ疎い部類である私、りょうが、世の中の有名な曲について「これってどういう歌なんだろう?」と調べたことを、のんびり雑談みたいに語っていきます。
このブログを書いていると、曲の魅力について「あれもこれも語りたい!」という気持ちでいっぱいになります。ですが、いつもぐっとこらえています。

なぜなら、この物語の主役は、素晴らしい作品と、それを聴く皆さん一人ひとりだからです。

私の解説が、皆さんが音楽から自由に何かを感じ取る楽しみの邪魔をしてはいけない。そんな想いから、あえて多くを語らず、皆さんの心の中に生まれる感想のための「余白」を大切にしています。

ぜひ、あなただけの感じ方で、音楽の世界を楽しんでみてください。

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こんにちは。 春になると、ふと思い出す歌はありませんか?

桜の季節は、出会いと別れの季節。そんな時、切なくも温かいメロディでそっと心に寄り添ってくれるのが、おがさわらあいさんの「サクラ知れず」です。

この曲、ただの失恋ソングだと思って聴いていると、その歌詞に込められた物語の深さに胸を打たれるかもしれません。

今日は、この「サクラ知れず」ができた背景や、歌詞に込められた切ない思いについて、その意味を一緒にたどっていきたいと思います。

まずは公式YouTubeで聴いてみよう

何はともあれ、まずは一度聴いてみてください。

おがさわらあい/サクラ知れずMVより

ただの失恋じゃない。歌詞に秘められた「三角関係」

音楽評論家の富澤一誠さんは、この曲を「現代の『神田川』」と評し、その背景には非常に切ない「三角関係」の物語があると解説しています。

それは、こんなストーリーです。

主人公の女性には、幼なじみの男性が二人いました。 3人はとても仲が良く、一緒に夢をみて東京へ出てきました。

しかし、ある時、そのうちの一人(主人公が想いを寄せていた「あの人」)が、事故か何かで亡くなってしまいます。

残された主人公と、もう一人の男性(「あなた」)。 深い悲しみを抱える二人は、お互いを支え合い、寄り添いながら生きていくことになります。

この背景を知ってから歌詞を読むと、一つ一つの言葉がまったく違う意味を持って響いてくるんです。

歌詞の意味をたどる:主人公の「決意」とは

この物語を頭に浮かべながら、歌詞の世界を見ていきましょう。

1. 静かな川面と、二人の沈黙

小さな花びらが 川面にゆれ落ちて 時間を航るように 静かに流れてく 黙ったままの二人

出典:おがさわらあい『サクラ知れず』(作詞. 作曲:田村武也)

冒頭のシーン。桜が散るのを「あなた」と二人で見つめています。 でも、二人の間には会話がありません。主人公の心は、今そばにいる「あなた」ではなく、別の場所にあることが伝わってきます。 「あたしも 帰郷(かえ)ろうかな」という言葉は、東京での夢や生活に疲れただけでなく、辛い思い出から逃げ出したいという気持ちの表れかもしれません。

2. 「あなた」への罪悪感と、「あの人」への想い

ごめんね あたしやっぱり あの人を忘れてない いつでも いつでも あなたは そばにいてくれるのに (中略) バカだね バカだね これじゃ 幸せになれないね

出典:おがさわらあい『サクラ知れず』(作詞. 作曲:田村武也)

ここでの「あの人」とは、亡くなってしまった想い人。 そして「あなた」は、同じ悲しみを抱えながらも、主人公をずっとそばで支えてくれている、もう一人の幼なじみです。

「あなた」の優しさは痛いほどわかっている。それなのに、亡くなった「あの人」を忘れられない…。そんな自分を「バカだね」と責めています。「これじゃ幸せになれないね」という言葉は、「あなた」を幸せにできない自分自身への言葉でもあるのです。

3. 三人で見た夢の「東京行き列車」

あなたとあの人と あの日飛び乗った 東京行きの列車は、どこへ向かってるの (中略) 呼んでも 呼んでも ここには あの人はもういない

出典:おがさわらあい『サクラ知れず』(作詞. 作曲:田村武也)

このフレーズこそ、物語の核心です。 かつて3人で一緒に夢をみて、希望を胸に飛び乗った東京行きの列車。 でも今、「あの人」はもうこの世にいない。どれだけ叫んでも、もう帰ってこない。 「もしもひとりぼっちだったら…震えてただけでした」という歌詞は、「あなた」が一緒にいてくれたから、なんとか立っていられた、という感謝の気持ちの裏返しでもあります。

4. 最後の「さよなら」に込められた本当の意味

あなたはわかってたんでしょ なのにやさしかったんでしょ (中略) ごめんね あたしやっぱり 一人で歩いていくよ もう少し もう少し ここで 頑張ってみるから さよなら

出典:おがさわらあい『サクラ知れず』(作詞. 作曲:田村武也)

主人公は気づいています。 「あなた」も「あの人」を失った悲しみを抱えているのに、あたしが「あの人」を忘れられないことを知りながら、優しく支えてくれていたことに。

だからこその、最後の「さよなら」です。

これは、「あなた」が嫌いになったからではありません。 亡くなった「あの人」への想いに縛られたまま、お互いが同情や悲しみで繋がっていては、二人とも前に進めない。 「弱いままの自分じゃ 誰も愛せないから」——。

「あなた」の優しさに甘え続ける弱い自分と決別し、一人の人間としてしっかり立つために。 そして、いつかお互いがちゃんと前を向いて歩き出せるように。

これは、悲しい別れであると同時に、二人にとっての「未来へ進むための決意」の「さよなら」なんですね。

まとめ

「サクラ知れず」は、ただ桜が散るのを見て失恋を嘆く歌ではなく、大切な人を失った喪失感、支えてくれる人への感謝と罪悪感、そして、それでも前を向いて歩き出そうとする人間の「決意」を描いた、深い深い物語の歌でした。

おがさわらあいさんの透明感がありながらも力強い歌声が、主人公の心の機微を繊細に表現していて、聴くたびに涙腺がゆるんでしまいます。

春になってこの曲を聴くときは、そんな切ない物語にも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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